ハート
稽古も大詰め、昨日は本番用の衣裳、かつらを着けて通し稽古。
気分が盛り上がります。
僕のシーンはほぼ形が出来上がったので、大事なのはその形から魂が抜けてしまわないようにハートを失わない事。
「ハート」
良い言葉です。
「気持ち」とか「感情」とか「新鮮」等々・・・演技の上で必ず出てくる言葉。
もちろん大切なんですが、ちょっと演劇の世界ではあまりに使われすぎて、逆に自分の中で説得力を持たなくなって来ています。
何て言うんですか、「この時の役の気持ちを考えて、毎日新鮮に感情を出して」なんていう感じがぐっとこないというか、自分が演出する時も、あまり使わなくなってきました。
何か良い言葉がないかしらと思っていた時、聞いたのが「ハート」
おっしゃったのが平幹二朗大先輩。
演劇界の中で、僕がもっとも尊敬している俳優の一人です。
初めて共演させて頂いた時、その演技を間近で見てアゴが外れました。
比喩ですよ、ホントにはずれた訳じゃありませんよ。
千人以上の観客の心を一瞬につかみ、ぐぐぐっと別世界に連れて行くあの迫力。
どうやったらあんな芝居ができるんだろう。
この不勉強な僕が、毎日袖から観察して勉強していた。
そして毎日アゴをはずしていた。
比喩ですよ。ホントにはずした訳じゃありませんよ。
我々後輩を焼き肉に連れて行って頂いた時、思い切って聞いてみた。
「どうやったら、あれだけの空間を掌握してしまうことができるんですか?」
「ううん・・・まあ、今回は時代劇だし、多少大芝居はしているけどね・・・・・やっぱり、ハートだね」
と、ご自分の胸を軽く指でとんとんと叩く平、大先輩。
かっこ良すぎました。
メモリーしてロックしました。
「ハート」なんて漠然とした言葉が、あの人の口から出ると、そりゃあ説得力ある訳ですよ。
それ以来、多用しています。
「やっぱり、ハートだね」とんとん。
え?
はい、形から入る俳優ですが、何か?
目指そう、このセリフが板につくその日を。
頑張れ、オレ。
負けるな、オレ。
そして、原作者の田中芳樹先生が稽古をご覧になり、ありがたい言葉を頂きました。
お誕生日が近かったこともあり、みんなでお祝い。
ぱちぱちぱち!
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