キリノという人
今回の夢座の舞台は史実でした。
ご覧になってない方のために解説すると、終戦後7年もの間、戦犯としてフィリピンに収監されていた人たちが、歌手の渡辺はま子さんたちの助命嘆願運動と、加賀尾教誨師の説得によって、フィリピン大統領の心が動き、恩赦によって帰国、釈放されるという話です。
あまりにタイムリーに起こった本番中のISIL人質事件。
複雑な心境で事件を見守りました。
渡辺はま子さん、加賀尾教誨師、様々に素晴らしい人々ですが、僕が一番心を動かされた人物はフィリピンのキリノ大統領です。
彼は戦犯に恩赦を与えたことで国民の大バッシングを浴び、大統領選に落ち、ほどなく亡くなります。
決して幸せとは言えない晩年かもしれません。
でも日本人戦犯を救う事が将来フィリピンのためになると信じ、憎しみからは何も生まれないことを貫き、日本人戦犯を解放したのです。
自身の奥さんと娘が、日本兵の銃剣によって無残に殺されたのに、です。
(戦犯の中には無実の人もいましたが、一般人をおもちゃのように殺した人もいたのに、です)
どうしてそんな判断できるの?
もちろん現代のテロ事件とは同列に比べられません。
でも、報復の連鎖が何を生み出すかくらいの想像力は我々にはあります。
キリノ大統領は怒る国民にこう言いました。
「憎しみの連鎖は何も生まないのです」
我が国の首相は、談話に自らこのフレーズを足しました。
「その罪を償わせる」
・・・ISILに殺害されたお二人のご冥福を心より祈ります。
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