平幹二朗という背中
平幹二朗さんが亡くなった。
昨日の夜、本当に衝撃で一瞬フリーズした。
一度だけご一緒させて頂いた舞台。
その演技の全てが僕の想像の想定外でした。
竜巻のようなエネルギーが1000人の観客を一瞬にして巻き込んで虜にしてしまう。
それを目の当たりにして、身体が震えた。
演技の奇跡というものがあるなら、まさにそれを体験した瞬間でした。
この不勉強な僕が、毎回自分の出番が終わった後、袖から平さんの演技を見ていました。
そんなことをしたのは、その時だけである。
「どうやったらあんなことができるんだろう・・・」
舞台の中で、同じようなことをやってみる、自分の芝居に置き換えてみる・・・
そして演出家に「増澤くん、気持ちはわかるけどダンプカーとカブくらい違う」とありがたいお言葉を頂きました。笑
あまりにわかりやすいぞ、俺。
身の程をわきまえず、平さんに聞いてみる。
「何であんなことができるんですか? 」
微笑みながら「特別なことはしてないけどね。時代劇だから多少大芝居ではあるけど・・・結局はハートだね」
「ハート」という言葉があんなにカッコよく聞こえたことはない。
それ以来、若い役者さんに「芝居に大切なことってなんでしょうね?」と聞かれると「まあ、結局はハートだね」と答えている。
ちっともカッコよく聞こえないけど。
あまりに簡単だぞ、俺。
きっといつまでも足元にも及ばないけど、多分一生背中を追い続けるんだろうな・・・
ご一緒させて頂いた時間は、僕の宝物です。
本当にありがとうございました。
どうか安らかに、平さん。
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