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N43V その4

さて、増澤的に実り多かった(笑)今回のワーニャですが・・・

最後に演出&主演のことに触れておこうと思います。
 
斎藤歩氏。
北海道の演劇界を牽引する存在です。
ていうと嫌がるだろうけど。笑
この人はもともと、僕が20代に札幌で芝居をしていた時に活躍していた劇団の座長さんでした。
その頃は全く接点はなかったけど、一昨年「PROOF」で札幌に帰った時に立ち話したところから今回の話に発展しました。
そういうのって、ちょっと面白いです。
話したことは「職業俳優について」
 
お仕事で俳優業をすること。
当然「やりたい仕事」と「やらなくてはいけない仕事」には乖離が生じます。
もちろん、「やらなくてはならない仕事」の中に「やりたい仕事」を盛り込むモチベーションを保つ方法は心得ています。
でもやっぱり、「やらなくてはいけない仕事」を繰り返すというのは心が痩せるのです。
(これは僕がモノ造り的な作業を好むからだと思うけど)
 
「やりたい舞台をやりましょう」
「俺、ワーニャやりたかったんだよね」
 
そんな言葉で始まったように思います。
そしてそんな思いが溢れるワーニャだった。
この人は脚本から演出から主演から、音楽までこなす多才人。
僕がMAMやる時もかなり何でも屋だけど、ずっと上を行っていると思います。
でも何より舞台の上で役者として彼と交流しているのが僕は楽しくて幸せでした。
エネルギーがほとばしるような人です。
板の上で、交わしたり探ったり壊したりって、すごく楽しい作業でした。
 
でも、かなりの自由人です。
本番中平気で素ネタをぶっこみます。
「千秋楽なんだからさ、もっとちゃんと登場しろよ」とか平気で言います。
迷惑です。
あ、それから稽古中にラブシーンの女役を情感たっぷりに実演するのも迷惑です。
上手いから。目が潤んでいるから。それで迫ってくるから結構怖いから。
 
そんな子供のようなおっさんの斎藤氏はこれからも札幌の第一人者として活躍するでしょう。
それを祈りつつ、彼を脅かす地元の逸材の登場も期待しつつ、再度の共演も何より期待します。
 
一番の感謝は、僕が足を折っても降板させるという選択肢が彼になかったこと。
「アーストロフが松葉杖でも面白いよなあ」
っていう言葉が、実はどんなに救いになっていたか。
 
あ、でもね。
観に来てくれた看護師さんに「アナタが増澤くんに座薬さした人?」って大声で聞くの、やめてもらっていい?
 
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N43V その3

さて、そしていよいよ「ワーニャ」です。

これがねえ・・・楽しかった!
僕はもともとチェーホフ好きだけど、今回やってみて自分でも演出したり、もっと他も演じたりしてみたくなった。
この「もっとやりたいセンサー」は面白い作品に関わると発動する。
「桜の園」とかやりたいなあ・・・
思えば俳優座に入って、研究生で初めて演じたのが「かもめ」のトリゴーリンだった。
岸田國士とチェーホフは僕にかなり大きな影響が与えたと思う。
今回の上演は約1時間半、言わば「ちょっと駆け足版ワーニャ」と言ってもいいかもしれない。
でもチェーホフのエッセンスはちゃんと香っているし、「ワーニャ」のストーリーは削られることなくきちんと込められている。
初めてチェーホフを観る人にはとても観やすかったと思う。
演じる方もかなりシンプルに入って行けた。
程よく現代的な表現に潤色しているところも大きいと思う。これはやっぱり斎藤歩氏のセンスだなあと思う。
 
人間て、バカだなあ。
でも一生懸命だもんなあ。
愚かなくらい必死で、笑えるくらい切ない。
そんな「ワーニャおじさん的」世界を僕自身も堪能した公演でした。
あの100席に満たない空間には、そんないくつかの人生が詰まっていたと思います。
僕の最後の「帰りたくないなあ」という言葉はそんな時間と場所に対する愛おしさでもありました。
 
やっぱり、演劇っておもしろいね。(笑)
 
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ご感想など、お待ちしています。

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N43V その2

さて、医者役でありながら骨折するという大金星を挙げたマスザワでありますが(苦笑)、この骨折という出来事がなかなか勉強になりました。

まず人間の身体の不思議。
たとえ数日でも、全く動かない状況に固めていると筋肉というのは間違いなく萎えるんですね。
びっくりした。
僕は割と早い時期から無理やり動いたけれど、それでも爪先立ちとかできなくなっていた時には驚いた。
あ、それからものすごい勢いで右足(折れた方)の皮がむけました。
新陳代謝を上げているんですかね・・・毎日傷の周りの皮がベロベロとむけました。
「再生しよう」という意志が宿っているみたいに感じて。(あくまで個人的な感想ね)
身体って面白い。
リハビリの先生と話す、身体のメカニックの話がとても興味深かった。
足の裏が実はものすごく情報収集の器官になっているとかね。
そして世の中は松葉杖に結構厳しいということ。
 
駅のエレベーターひとつでも、ものっすごく迂回路になるということも知りました。
あの距離を松葉杖で移動するのってめちゃくちゃ大変ですねえ。
ちょっとした段差がとっても大変だし、段差を避けるとものすごく長い移動になるし・・・
車椅子の方やハンディを持った方々が普段どれだけ面倒を強いられているか痛感しました。バリアフリーは増えているけど、距離とかはあまり考えられていないんだね。
あ、それからね・・・これもびっくりでしたが、電車で一度も席を譲ってもらえませんでした。
 
一度もです。
 
頑張れば優先席まで移動できます。
多少離れても空いている席があれば「大丈夫かな」と思うでしょ?
僕は正直思っていました。
でもね、揺れてそこそこ混んでる車内で移動するのって、
 
ものっすごく大変。
 
もちろん「まけるもんか」という意志があれば何とかなるんですが。
「甘えるもんか」という気持ちがなければ怪我なんか乗り越えられないんですが。
それにしてもこの不寛容さにはちょっと驚いた。
一人一人がどうということではないんです、きっと。
でも、大きく社会という括りでは世の中ってすごく不寛容なんだなと、松葉杖ニストになって改めて感じました。
だからこそ、一人一人が寛容さを意識して生きて行かなくてはならないということも。
ちょっとした時にドアを開けてくれたりとか、スーバーで店員さんがカゴを持ってくれたりとかした時に、涙が出るほど嬉しかったもんね。
大げさだけど。(苦笑)
 
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写真は退院後すぐにやったトークショー。(とても楽しかった)
骨折を隠して歩いて登壇したのに、鈴井貴之氏が開口一番「この男、骨折してましてねえ〜!」
・・・水の泡である。
「だってこんなネタ、黙っているわけないだろー!」
これが鈴井さんの鈴井さん的なところなんだけどさ。
 

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N43V その1

今回出演した「北緯43°のワーニャ」

略して「N43V」!
かっけー、なんか新型っぽーい。
っていうバカはさておき。
とっても刺激的で得るものの多い舞台でした。
何回かに分けて、今回の札幌の舞台を振り返りたいと思います。
 
その1。
「油断してはいけない、稽古以外の時間でも」
 
私、やってしまいました。
稽古帰りに凍結路面ですっ転んで、お尻の下で足首が「ぽきっ」って言いました。
はい。ポッキー食べた時に鳴る音です。
僕の足首でポッキーが鳴りました。
速攻病院行きました。→レントゲン撮りました。→折れてました。
おーまいがーっ!・・・その時点で本番までちょうど3週間です。
選択肢は二つ。
1・このまま固める。→この案は6週間はかかるので却下。
2・手術をしてプレートで固定する。2週間で歩けるようになる、と思う。→ということでこれに決定!
絶対出演するのだ!
そして手術した日が骨折より5日後・・・あと2週間ちょっと!
 
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そして何週間か入院するところを5日で退院。
杖つきながらの稽古。
なんて言うんでしょう。
こういう時ってアドレナリンが出るものです。
稽古の時は痛くないです。
ガキかっ!
 
ちなみにこの頃取材を受けています。
隠しているつもりが杖もろバレ。笑
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そんなわけで、突貫工事のように治療して本番を迎えました。
いやはや、貴重な体験だった。
皆様にはご迷惑をかけてしまったけど。
本当に受け入れて頂いてありがとうございました。

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